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住職からのお話

第112話

『鶉(うずら)の報復』

 昔、ヒマラヤの麓(ふもと)に象が群れをなして住んでいました。

 ある時、一羽の鶉(うずら)が象の歩き回るところに卵を産みました。
 すると、一頭の象がやってきましたので、鶉は「どうか私の子供たちを踏み潰さないでください」と頼みました。
 ところが、この象は自身の大きさに傲(おご)り、小さな鶉を侮っていたため、無慈悲にも卵を踏み潰して小便で流しました。

 鶉は怒り心頭に発して報復を誓い、鴉(からす)へ協力を乞いました。
「鴉さん、あの憎い象の尻に貴方の嘴(くちばし)で穴を開けてくれませんか」
 次に蝿(はえ)へ協力を乞いました。
「蝿さん、鴉さんが象の尻に穴を開けましたら、そこに卵を産み付けてください」
 最後に蛙(かえる)へ協力を乞いました。
「蛙さん、象が水を欲しがったら、崖で鳴いてください」
 鴉・蝿・蛙は喜んで引き受けました。

 鴉が象の尻に穴を開け、蝿が穴に卵を産み付けますと、象は湧(わ)いた蛆(うじ)を洗い流すため、水を求めて歩き回り、蛙の鳴き声を聞きました。
 蛙は水のあるところにいますので、象は誘い込まれて崖下に転落しました。

真宗大谷派 唯徳寺

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