第98話
『ヴィドゥラ賢者』
昔、ヴィドゥラという賢者がおり、話を聞く者にいつも感銘(かんめい)を与えました。
龍王の王妃もヴィドゥラの話を聞いてみたかったのですが、簡単に会うことは出来ませんでした。
そこで、王妃は仮病を使い、ヴィドゥラのような賢者の心臓がなければ、自分は助からないと言いました。
これを真に受けた龍王は、娘にヴィドゥラを夫とし、その心臓を持ってくるよう命じました。
娘は鬼のプンナカを誘惑し、彼にヴィドゥラを連れてくるよう頼みました。
しかし、プンナカは龍王の娘を愛するようになったので、ヴィドゥラを殺して心臓だけを持ち帰ろうとしました。
ヴィドゥラは王妃が欲しいのは、自身の心臓ではなく、自分の話であるとことの真相を見抜きました。
彼は龍王の娘が夫の心臓を欲しがるような女性であるのかとプンナカに言いました。
プンナカも愛する竜王の娘がそのような女性ではないと思い、ヴィドゥラを王妃たちのところへ連れていきました。
ヴィドゥラの話は王妃たちを喜ばせ、龍王の娘はプンナカの妻になりました。
真宗大谷派 唯徳寺