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住職からのお話

第113話

『サンカパーラ龍王』

 ある日、商人が牛車に商品を積み、市場に向かっていますと、龍と数名の男たちがいました。
 龍は弱っており、それを良いことに、男たちは龍をいじめていました。
 商人は男たちに牛車と商品を与えて龍を助けました。

 龍はサンカパーラ龍王という龍の王でした。
 サンカパーラ龍王は助けてくれたお礼に商人を龍宮へ連れていきました。
 龍宮は飲食のもてなしや多くの美女など欲を満たすもので溢れていました。
 サンカパーラ龍王は財宝が意のままに出る宝珠を持っていたのです。
 商人は龍宮で一年を過ごしました。

 商人はサンカパーラ龍王にそう尋ねました。
「龍宮にいれば満ち足りた生活を送れるのに、どうして地上に出てきたのですか?」
 サンカパーラ龍王は商人に答えました。
「意のままに財宝を出せても満ち足りることはありません。後から後から欲が出てきます。そのような我が身と向き合う教えが地上にあると聞きました」

 仏教では後から後から出てくる欲を何とか満たそうとするのではなく、そうなる我が身と向き合い、根本からの解決を図ります。

真宗大谷派 唯徳寺

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