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住職からのお話

第108話

『サーマ』

 サーマという少年がいました。
 両親は病気で失明していました。
 サーマは食事の準備や体を洗うことなど甲斐甲斐(かいがい)しく両親の世話をしていました。

 ある日のこと、サーマは水を汲(く)みに川へやってきましたが、そこでは王が鹿狩りをしており、その流れ矢に撃(う)たれてしまいました。
 王はそれに罪の意識を抱きましたが、サーマが川にやってこなければ、このようなことにならなかったと怒りも感じました。
 少しでも罪の意識を減らそうと思い、王は瀕死(ひんし)のサーマを介抱しようとしました。
「王よ、私が死ねば目の不自由な両親があちこち捜(さが)し回ることでしょう」
 サーマは瀕死の状態でしたが、王を罵(ののし)らないで両親を気遣(きづか)いました。
 そのようなサーマに対し、王は彼へ怒りを抱いていた自身を恥じました。

 王は自分が代わりに両親を養っていこうと約束しました。
 サーマが息を引き取ると、王は両親の下へ行き、自分のせいで息子を死なせてしまったことを正直に告白しました。
 両親は王を許し、横たわるサーマのところへ案内されました。

真宗大谷派 唯徳寺

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