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住職からのお話

第94話

『三階建てと三階だけ』

 ある人が商売に成功し、稼いだお金で三階建ての家を建てました。
 「あんな高い家を建てられるなんて、あそこの主人はやり手だ」と町の評判になりました。
 それを聞いた別の金持ちがいました。
「私だって負けないぐらいの財産があるのに、あいつだけが評判になるのは面白くない。私も三階のある家を建てよう」。

 早速、大工の棟(とう)梁(りよう)を呼びました。
「あれと同じような家が出来るか?」
「あれは私が建てた家です」
「では、今度は私にもあのような家を造ってくれ」
 直ぐに工事が始まり、まずは一階が造られました。

 ところが、三階のある家が早く欲しいお金持ちは、怒って棟梁に言いました。
「一階や二階が欲しいのではない! さっさと三階を造れ!」
 一階も二階もなしに三階を造れるような大工はおらず、お金持ちは家を建てられませんでした。

 相手の目立つところだけ羨(うらや)み、真似ようとしても上手く行かないでしょう。

真宗大谷派 唯徳寺

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