第91話
『従者チャンナ』
お釈迦さまにはチャンナというお弟子さんがいました。
チャンナはお釈迦さまと同じ日に生まれ、お釈迦さまが王子でいらっしゃった時、その従者をしていました。
お釈迦さまは出家される際、チャンナと共に馬で城を出られました。
遠くまで来られたお釈迦さまは、髪を剃(そ)られて出家され、馬を牽引(けんいん)して城に帰るようチャンナに言い付けられました。
言われた通りチャンナは馬を牽引して帰りましたが、城の皆からはどうしてお釈迦さまを止めなかったのかと責められました。
それに自尊心を傷付けられたチャンナは、お釈迦さまが悟りを開かれ、城に帰ってこられますと、その弟子になりました。
チャンナは傷付けられた自尊心を癒(い)やそうとしてか、自分がお釈迦さまと最も親しいといつも自慢しました。
また、お釈迦さまと親しそうなお弟子さんに嫉妬(しっと)し、その悪口を言ってもいましたので、幾度(いくど)もお釈迦さまから注意されていました。
しかし、それはお釈迦さまがチャンナのことを気に掛けられていたからで、お釈迦さまが亡くなられてしまいますと、チャンナは孤立してしまいました。
チャンナはお釈迦さまとの折角(せっかく)のご縁を浪費していたことを悔い、心を入れ替(か)えて修行し、やがて周囲から尊敬されるようになりました。
真宗大谷派 唯徳寺