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住職からのお話

第90話

『王様の服』

 王様の倉庫に泥棒(どろぼう)が入りました。
 そこに金銀財宝はありませんでしたが、王様の服がしまってありました。
 泥棒はその服を盗(ぬす)みましたが、すぐに捕(つか)まってしまいました。

 早速、泥棒は王様の前に連れ出されました。
 王様が泥棒に聞きます。
「この服はどこで盗(と)った?」
「それは私のお祖父(じい)さんの服です」
「では、着てみよ」
 王様が着るような服など着たことがなく、泥棒は着方を知りませんでした。
 着てみたらあべこべでした。
 手に着けるものを足に着け、腰(こし)に着けるものを頭にかぶりました。
「家に伝わった服であるなら、着方があべこべなはずもないので、やっぱり盗んだな」

 他人の話を聞きかじり、あたかも自分が考えたことのように言う人がいます。
 でも、そういった人は話の意味をちゃんと分かっていません。
 なので、話の順番を取り違えるなどして結局はボロが出ます。

真宗大谷派 唯徳寺

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