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住職からのお話

第89話

『命取りの聞き違え』

 ある男が裕福な夫のいる女性と不倫をしていました。
 夫は仕事で帰りが遅くなることが多いので、二人はいつも女性の家で夜にこっそり会っており、彼女の召使いたちも見て見ぬふりをしていました。

 ある日、夫が泊まりがけの仕事に出かけることになりました。
 そこで、男がしめしめと女性の家へやってきました。
 ところが、今夜は帰ってこないはずの夫が帰ってきました。
 実は、夫は妻が不倫していることを知っていたので、不倫相手が出てきたら捕まえようと門の前で待ちかまえていました。
 それを部屋の窓から見た妻は、声をひそめて不倫相手に言いました。
「夫はあなたに気づいています。門からは出られません。樋(とい)で逃げてください」
 しかし、不倫相手は「樋」を「問い」と聞き違えました。
 彼は女性の家の召使いたちに別の出口はどこか問えば良いと思い込み、窓から見えた夫を召使いたちの一人と間違え、夫に問いかけたところ、それが命取りとなりました。

 聞法(もんぼう)は教えそのものが大切なのはもちろんですが、それを聞く私たちの姿勢も大事で、そこを疎(おろそ)かにすれば、大変なことになりかねません。

真宗大谷派 唯徳寺

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