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住職からのお話

第78話

『牛乳の保存法』

 昔、あるところに農夫がいました。
 その農夫は牛を飼っており、毎日、搾(しぼ)った牛乳を売っていました。

 ある日、彼は牛乳を搾りながら、こんなことを考えました。
(牛乳は直ぐに痛むから、今日に搾った牛乳を残しておいても、明日には飲めなくなってしまう)
 どうにかして売れ残りを保存し、後日にまた売り出せないか農夫は悩みました。
(そうだ、牛の体内から絞り出した乳は痛んでいないのだから、売れ残った牛乳を育ち盛りの子牛にたくさん飲ませれば、たくさんの乳を痛ませずに保存できるじゃないか)
 早速、彼はその思い付きを実行しました。

 変に欲を掻(か)き、浅はかな見込みに従いますと、却って損をしてしまいかねません。

真宗大谷派 唯徳寺

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