第71話
『マンゴーの味見』
あるところに大金持ちの家がありました。
そこの主人はマンゴーが大好きでした。
そこで、彼は使用人にお金を満たせ、美味しそうなのを選んできなさいと言い付け、マンゴーを買いに行かせました。
使用人が果樹園に着きますと、沢山の美味しそうなマンゴーが実っていました。
果樹園の主は一つ味見するよう言いました。
使用人は一つだけでは分からないので、全部味見してから買うと言い、全てのマンゴーを舐(な)めてから買って帰りました。
大金持ちの家に帰った彼は、主人から美味しいマンゴーを選んできたか問われますと、全部のマンゴーを舐めて味を確かめてきたと答えました。
買って帰ったマンゴーも舐めたと言いましたので、主人は怒って捨てさせました。
一つ味見すればその果樹園のマンゴーはどのような味か分かるはずです。
そのような道理を弁(わきま)えず、自身の経験だけに頼っていますと、こうした失敗に陥(おちい)ってしまいかねません。
真宗大谷派 唯徳寺