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住職からのお話

第55話

『鶴(つる)と亀(かめ)』

 その昔、あるところに鶴と亀がいました。
 鶴は気の良い性格でしたけれどもバカ正直でした。
 亀は鶴の友達でした。
 しかし、亀は心の中で鶴を軽んじ、自分の方が賢いと思っていました。

 ある時、亀は遠いところに行く用事が出来ました。
 亀は足が遅いので、歩いて行けばかなりの時間が掛(か)かりました。
 そこで、亀は鶴に頼みました。
「私を口に咥(くわ)えて、飛んで運んではくれないか?」
「その方が早く済むでしょうから良いですよ」
 気の良い鶴は頼みを聞き入れ、亀を口に咥えて飛びました。
 鶴は特に問題もなく、亀を運んでいきました。

 しかし、鶴を軽んじていた亀は不安になりました。
(鶴は私ほど賢くないから、うっかり落としてしまうのではないか?)
 不安になった亀は思わず、鶴に尋(たず)ねてしまいました。
「私をうっかり落としてしまうようなことはないだろうね?」
「大丈夫ですよ」
 そして、バカ正直な鶴は口を開けて答え、咥えていた亀を落としました。

真宗大谷派 唯徳寺

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