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住職からのお話

第49話

『獅子(しし)を助けた狐(きつね)』

 その昔、ヒマラヤ山の麓(ふもと)に五百匹の獅子を率いる獅子の王さまがいました。
 しかし、この王さまは既(すで)に年老い、その目は殆(ほとん)ど見えなくなっていました。

 ある時のこと、王さまは先頭に立ち、五百匹の獅子を従え、ヒマラヤ山の麓を散策(さんさく)しました。
 目のよく見えない王さまは、誤って空(から)の井戸に落ちてしまいました。
 しかし、強さを誇る五百匹の獅子たちは、弱くなった王さまを蔑(さげす)み、彼を救い出そうとせず、そこを去ってしまいました。

 この井戸には近くに一匹の狐が住んでいました。
 狐は獅子の王さまが井戸に落ちているのを見てこう思いました。
「弱い私はかつて誠実なこの王さまから沢山(たくさん)の食べ物を分けてもらった」

 井戸の近くには大きな河がありました。
 狐は穴を掘(ほ)って河の水を井戸に引き、水が井戸に満ちますと、王さまを浮かせて助け出すことが出来ました。
 すると、この様子を見ていた山の神は、狐の仕事を誉(ほ)めてこう言いました。
「人々よ、交わる友が弱いか強いかを問うなかれ。五百匹の獅子たちは強いが、無情にも自分たちの王を救い出そうとしなかった。あの小さな狐は弱さを知恵で補った。要は誠実さが肝心(かんじん)なのだ」

真宗大谷派 唯徳寺

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