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住職からのお話

第45話

『四人の友』

 ある一人の男には四人の友がいました。
一人目は最も仲の良い親友で、決して離れたくないと思っていました。二人目は大変に苦労して取り入り、仲良くなった有力者でした。三人目の友はたまに会って慰め合ったり気ままを言い合ったりしている仲でした。四人目は殆(ほとん)ど召使いと変わらず、使いっ走りをさせられていたのですが、男からは感謝の言葉を何も掛けられませんでした。

 ある時、男は自分の住んでいる家を去り、遠く外国へ旅立たなければならない用事が出来ました。しかし、男が一緒に来てはくれないかと頼んでも一人目から三人目は断りました。四人目だけがこっくりと頷(うなず)き、男はやむなく心に染まぬ彼を連れて都城から立ち去りました。

 この話についてお釈迦さまはおっしゃりました。都城とは現世、男は人間の生、友の一人目は体、二人目は財産、三人目は家族や仲間、四人目は命であると。

 人間が死ぬ時は、生きている間にはずっとあった体は腐敗して無くなり、苦労して貯めた財宝も持っていけず、家族や仲間もいずれいなくなる。我々を生かそう生かそうとする命だけが生きることに最後まで寄り添ってくれ、生命の源であるお浄土へと連れ帰ってくれる。しかし、死ぬまでの間、我々は生きているのが当たり前であると思い込み、命のことを顧(かえり)みないでいる。

真宗大谷派 唯徳寺

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