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住職からのお話

第43話

『七宝(しっぽう)の靴(くつ)』

 ある山中に五人の仙人がおり、その一人が常に四人の世話を勤めました。
しかし、ある日、世話役の仙人は疲れて眠り、四人の食事の支度をせず、彼らに怒られてしまいました。
彼は自責の念に堪(た)えかね、いつも履(は)いていた七宝の靴を川辺に脱ぎ捨てますと、川に身を投げて死んでしまいました。

 そして、世話役の仙人はとある国の王子に生まれ変わりました。
父親である王には息子が多くいましたが、一人の道士が何かと助けてくれ、王子は即位することが出来ました。
王位に登った彼は、道士を相談相手にしました。

 道士に助けられて王は国を正しく治め、少しの間違いもありませんでした。
ですが、慣れるに従って彼は高慢な心を起こしました。
そして、外出した道士が一緒に食事する時間に遅れてくると、王は怒って彼を国境から追い払いました。

 道士は一人あてどもなく山をさまよい歩き、川に身を投げて死のうとしましたが、川辺に脱ぎ捨てられてあった七宝の靴を拾いました。 立派な靴だったため、彼は王に献上しました。 王は山に立派な靴があったのを不思議に思い、そこにいた四人の仙人から自身の前世を教えられ、道士のことを許しました。

真宗大谷派 唯徳寺

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