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住職からのお話

第42話

『鷹と小鳥』

 その昔、あるところで小鳥が鷹に捕まえられました。
 捕まえられながら小鳥は泣いてこう言いました。
「私は家を離れたばかりにこのような災難に遭(あ)った」

 鷹は小鳥をせせら笑いながら言いました。
「どこにいようとも俺様に狙われれば逃れられない」
「いいえ、家にいさえすれば、誰もどうすることも出来ません」
 鷹はこの言葉を聞いて思いました。
(生意気なことを言う鳥だ。俺様に不可能なことがあるものか)
 そして、小鳥に言いました。
「よし、それでは、お前をそこへ帰してやる」

 小鳥は鷹を伴い、田の畦(あぜ)にある家に帰りました。
 それから、自分だけ畦の中に入り、小さな穴から顔だけ出して鷹に言いました。
「さあ、いらっしゃい」
 戦いを挑まれた鷹は烈火のごとく怒り、満身の力を込(こ)めて小鳥に突進しました。
 小鳥は家の中に身を隠し、鷹は体が大きくて穴を通れず、畦にぶつかって死にました。

真宗大谷派 唯徳寺

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