第40話
『蓮如(れんにょ)さんと一休(いっきゅう)さん』
本願寺(ほんがんじ)のご門主(もんしゅ)だった蓮如さんと頓知(とんち)で有名な一休さんは友達でした。
一休さんは禅宗(ぜんしゅう)の僧侶でしたが、本願寺で報恩講(ほうおんこう)が勤められているところにやってきたこともあり、その際に親鸞さんの木像を前に次のような歌を詠みました。
襟巻(えりまき)の あったかそうな 黒坊主(親鸞さん)
此奴(こやつ)が法(教え)は 天下一なり
一休さんは貶(けな)すように讃える禅宗の誉(ほ)め方で親鸞さんを誉め讃えたのです。
ある時、蓮如さんが留守の中、一休さんが本願寺に上がり込みました。
一休さんは蓮如さんの持仏(じぶつ)である阿弥陀さまの像を枕に昼寝を始めました。
持仏とは身近に置いて礼拝するための仏像です。
一休さんは蓮如さんが本願寺に帰りましても寝ていました。
蓮如さんは「それを枕にしては寝にくいですよ」と言って一休さんを起こすだけで、怒ることはありませんでした。
一休さんはわざと仏像を枕にし、信仰の対象に無礼を働かれればどうかと問うたのです。
蓮如さんの答えは飽(あ)く迄(まで)も仏像は仏を礼拝するためにあり、拝むのに礼を失してはいけないが、それに囚われてもならないというものでした。
真宗大谷派 唯徳寺