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住職からのお話

第37話

『婿の失敗』

 その昔、あるところに一人の財産家がいました。
ある日のこと、この財産家が婿に向かい、薪を伐(と)ってくるよう言い付けました。婿は牛の車に乗って山林に出掛け、懸命になって木を伐りました。

 ところが、余りに伐採に熱中していたので、いつの間にか牛がいなくなってしまいました。婿は大変なことになったものだと思い、牛を探しに出掛けました。しかし、牛を見付けられないで婿が元のところに帰ってみますと、今度は車が無くなっていました。

 婿はますます慌て、あちらこちら探し歩く内に大きな池に出ました。
池には水鳥が遊んでおり、それを見た彼は、鳥をお土産にし、牛と車のことを許してもらおうと思いました。婿は手斧を投げ付けましたが、斧は水鳥に当たらないで池へ落ちてしまいました。

 婿は大いに慌て、手早く着物を脱ぎ、池に潜って斧を探しましたが、どうしても見付かりませんでした。 しかも、岸に上がってみますと、着物が無くなっていました。彼は仕方なく裸のまま家に帰りました。

 裸であることが恥ずかしかったので、婿は裏手から入ろうとしました。
すると、日が暮れていましたので、家の人たちは泥棒が忍び込んできたと思い、婿を散々に痛め付けてしまいました。

失敗をした時、それを取り繕(つくろ)おうとすることだけ考えていますと、更に大きな失敗をしてしまうのかも知れません。

真宗大谷派 唯徳寺

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