第22話
『目隠しと象』
昔、王さまが象を手に入れました。
その国ではまだ誰も象を見たことがありませんでした。
そこで、人々を驚かせるため、王さまは彼らに目隠しをし、象を触らせてそれがどのような形の生き物か答えさせました。
初めて象に触った人々は、その形をみんなでそれぞれ王さまに言いました。
骨のように堅くてつるつるし、曲がっていて先の尖った丸い棒のような生き物でした」
「太い柱のような生き物で、毛が生えておりました」
「毛は生えていますけれども壁のような生き物でした」
「薄くて平べったい大きな団扇のような生き物でした」
「綱のような生き物でした」
「柔らかくて動く丸い管のような生き物でした」
それぞれが触ったところだけを象の全体であると思い込んだため、答えが食い違って人々は喧嘩を始めました。
自分の体験を過信し、全体から見ればほんの一部でしかないものを全部であると思い込むことはよくあります。
お釈迦さまは目隠しをして象に触った人々のたとえ話でそのことを指摘されました。
真宗大谷派 唯徳寺