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住職からのお話

第18話

『除夜の鐘とは』

  除夜の鐘とは大晦日(おおみそか)(十二月三十一日)の夜、深夜十二時を挟む時間帯に寺院の梵鐘(ぼんしよう)を撞(つ)くことです。除夜とは「古い年を除き去って新年を迎える夜」の意味です。梵鐘は寺院に釣られた鐘で、撞木(しゅもく)で撞き鳴らすものを言います。

 多くのお寺で除夜の鐘は百八回撞かれます。どうして百八回なのかについては複数の説があります。例えば煩悩の数、一年間、四苦八苦などの意味が百八という数字には込められていると考えられています。一年間という説では月・二十四節気・七十二候の数を足せば百八になります。

 一般的な作法では鐘を撞く前には鐘に向かって合掌し、百八回の内、百七回は旧年(十二月三十一日)の内に撞き、残りの一回を新年(一月一日)に撞きます。そのように全国で除夜の鐘が撞かれる様子は、NHKの『ゆく年くる年』でも中継されます。番組が開始した当初、『ゆく年くる年』のタイトルは『除夜の鐘』でした。

 真宗でも除夜の鐘を撞くお寺があります。除夜の鐘は一年の罪滅ぼしに撞くという見方もありますが、真宗ではそのように捉えていません。無明煩悩を闇夜に喩え、一年の締めくくりに鐘の音を聞きながら、我が身の煩悩を省みて一年の自分を反省するのが真宗における除夜の鐘です。

 真宗では私たちの煩悩は決して消えることがないと考えています。そして、そのような私たちであるからこそ阿弥陀さまは救わずにおれないと思われ、常に働いてくださっているのです。そのご恩に感謝し、御恩報謝のお念仏と共に新年を迎えましょう。

真宗大谷派 唯徳寺

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