第17話
『報恩講(ほうおんこう)とは』
報恩講とは真宗のみ教えを明らかにしてくださった親鸞聖人のご恩に報いるための集まり(講)です。僧侶が集まってお勤めをする法要は幾つかありますが、真宗ではその中でも報恩講が最も大切な法要とされます。本山では十一月から二十八日(聖人のご命日)までの七昼夜に渡るお勤めがあり、御正忌(ごしょうき)とも呼ばれています。
この御正忌の前後に全国の寺院でも報恩講を執り行います。一般寺院での報恩講では『正信偈(しょうしんげ)』ないし『文類偈(もんるいげ)』が勤められて『御伝鈔(ごでんしょう)』も拝読され、最後に親鸞聖人だけでなくお釈迦さまたちのご恩に報いるために『恩徳讃(おんどくさん)』が唱和されます。
『御伝鈔』は聖人の足跡を伝えるもので、それを絵にした『ご絵伝(えでん)』を飾るところもあります。お寺によっては親鸞聖人のご子孫でいらっしゃる覚如(かくにょ)上人と存覚(ぞんかく)上人がそれぞれ聖人のご遺徳を偲ばれた『式文(しきもん)』と『嘆徳文(たんどくもん)』を拝読します。
報恩講が各地に根付いていったのは蓮如(れんにょ)上人の頃です。家庭でも「お取越(とりこし)」あるいは「お引上(ひきあげ)」とも呼ばれて報恩講はお勤めされてきました。今では下記のような形が標準的です。
まず当日までにお内仏のお掃除、仏具のお磨きを行います。上卓(うわじょく)と前卓(まえじょく)に打敷(うちしき)をかけてお花を生け替え、白いお餅に紅と藍の色を付けてお華束に盛り、金供笥(くげ)でご本尊に一対お備えします。ローソクは朱ろうを用い、輪灯(りんとう)の上には瓔珞(ようらく)を吊ります。
お勤めは『正信偈』・念仏讃・和讃・回向・御文が一般的です。
真宗大谷派 唯徳寺