第13話
『七夕とは』
七夕とは五つある節句の一つで、七月七日の夕方に当たります。「七夕」は「しちせき」とも読みますが、多くの場合、「たなばた」と呼ばれています。「たなばた」は「棚幡」とも書かれます。
「棚幡」はお盆の精霊棚(しようりようだな)とその幡(はた)を指しています。精霊棚はお盆においてご先祖さまの精霊を迎えるための棚です。一般的には台の上にござを敷き、位牌および三具足(みつぐそく)とお供え物を置きます。
旧暦では七月十五日の前後がお盆に当たりました。それゆえ、七夕はお盆に関連のある年中行事でしたが、新暦では八月十五日の前後にお盆が行われるようになるも七夕はそのままだったので、関連性は薄れてしまいました。もっとも、沖縄の七夕は旧暦で行われ、お墓を掃除してご先祖さまにお盆が近付いたことを報告します。
愛し合う夫婦でありながらも七夕にしか会うことが出来ない織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の伝説は中国に古くから伝わります。しかし、短冊に願い事を記して葉竹に飾るのは、神道の儀式に因んで江戸時代に始まったもので、日本でしか行われていません。七夕そのものは韓国や台湾、ベトナムでも祝われています。
かつて大谷派と本願寺派では七夕に際し、末寺が草花で鳥獣や人形を作り、篭(かご)に挿(さ)して本山へ献じ、一般の人々に見物してもらいました。これを「本願寺七夕の花」と言います。花はそれぞれに趣向が凝らされ、中には人の丈くらいある大きなものも見られました。ただ、残念なことに現在では行われていません。
真宗大谷派 唯徳寺