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住職からのお話

第105話

『箱の中』

 昔、森に住んでいた鬼神が美しい女性に一目惚れしました。
 鬼神は彼女を自分だけのものにしたくなり、彼女を箱の中に入れ、それを呑み込んでしまいました。

 ある日、水浴びがしたくなった鬼神は湖に行きますと、箱を吐き出して久し振りに美女を外へ出し、体を洗ってやりました。
 すると、一人の美男が現れ、美女は彼に一目惚れしました。
 美男も美女に一目惚れし、彼女は彼をこっそり箱の中に入れ、鬼神は美男がいることも知らず、また箱を呑み込みました。

 鬼神は帰る途中で修行者に出会い、「そこのお三人、これからお帰りですか?」と声を掛けられました。
 それを聞いた鬼神は怪訝(けげん)な顔をし、「私は一人ですよ」と答えました。
 修行者は神通力で鬼神の腹と箱の中を見通しており、見たままのことを告げました。
 鬼神はショックを受けましたが、美男が剣を持っていれば、腹を切り裂いて逃げ出すかも知れませんでした。

 恐れをなした鬼神は箱を吐き出しますと、節度ある生活をしようと誓い、一人で森に帰っていきました。

真宗大谷派 唯徳寺

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