第104話
『盗まれた蓮根』
賢者のマハーカンチャナは父と母が亡くなった後、弟たちと共に出家しました。
マハーカンチャナたちは蓮池(はすいけ)の近くに庵(いおり)を結び、池の蓮根や果実を食べて暮らしました。
彼らは日替わりの当番で食べ物を採っていました。
ある日、仏教の守り神であるインドラがマハーカンチャナたちがしっかり修行できているかを試すことにしました。
インドラはマハーカンチャナの取り分である蓮根を盗み、そのことを彼に気付かせました。
マハーカンチャナは弟たちの誰かが盗んだと疑い、弟たちの食べ物を盗むだろうとインドラは考えました。
しかし、マハーカンチャナは弟たちに蓮根を盗んだか尋ね、皆が潔白を誓いますと、彼らの食べ物を欲しがりませんでした。
インドラは姿を現し、どうして弟たちを疑うこともなく、彼らの食べ物を盗むこともしないのか尋ねました。
マハーカンチャナは自分が盗まれたからといって何をしても良いと思い、相手から盗めば盗みの止むことはないと答えました。
真宗大谷派 唯徳寺
